クラウド導入事例
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クラウド災害時用掲示板システム導入事例 -岡三証券株式会社様

 

非常時のみ立ち上げる「災害時用掲示板システム」をクラウド上に構築
事業継続のための迅速な情報共有と的確な意思決定を支援

岡三証券株式会社(以下、岡三証券)は、「すべてはお客さまのために」という経営理念のもと、個人投資家を中心とした顧客一人ひとりの資産運用ニーズに、迅速かつ的確に応えられる営業体制の確立を目指しています。そうした中で、お客様の資産運用に一層の信頼と安心を提供するため、統合リスク管理体制の強化を推進。大規模災害発生時にも事業継続を支える情報共有基盤の実現に向けて、「災害時用掲示板システム」を構築しました。
同システムは、IBMのコラボレーション・ソフトウェア「Lotus Notes/Domino 8.5(以下、Lotus Notes/Domino)」とクラウド・サービス「IBM SmarterCloud Enterprise(以下、IBM SCE)」を活用したもので、災害時にクラウド環境に掲示板システムを立ち上げ、事業継続に向けた経営層や管理職の迅速な情報共有と的確な意思決定をサポートします。

安否確認を超えた双方向のコミュニケーション基盤が必要に

昨今、広域災害を踏まえた事業継続計画(BCP)の重要性が強く叫ばれています。背景にあるのは、東日本大震災で直面したさまざまな困難です。被災地は言うまでもなく、首都圏でも社会インフラの機能低下によって多くの混乱が起こりました。
岡三証券の企画部長を務める豊永聡氏は次のように話します。

岡三証券株式会社 企画部長 豊永聡様

「岡三証券ではこれまでもリスク管理に対してさまざまな取り組みを重ねてきましたが、想定を超えた出来事に接し、新たな課題が浮き彫りになりました。そのひとつが非常時の連絡体制です。今回の震災はたまたま就業時間内に起きたため、社内では内線電話で状況を確認できましたが、公衆回線は長時間にわたって通信規制がかかり、外出中の社員との連絡には相当な時間を要しました。」
仮に同等の大規模災害が夜間や休日に起こった場合、既存のBCPは問題なく実行できるのかが危惧されました。岡三証券では、社員の安否確認システムは導入されていましたが、業務を継続するための情報収集や連絡が可能なコミュニケーション基盤の必要性が再認識されたのです。
「まず、電話や携帯メールとは異なるルートによる、災害に強い連絡手段の確保が重要です。その上で事業継続に向けて、指揮・命令ならびにその実行・報告といった双方向のやりとりを支える仕組みが必要となります。そこで、安否確認にとどまらない、事業継続体制の強化という視点に立った情報共有手段を検討することになりました。」(豊永氏)

解決方法として同社がまず着目したのが、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)です。実際にSNSを連絡ツールとして活用している企業もありますが、どうしても払拭できなかったのがセキュリティーに対する懸念でした。

岡三証券株式会社 リスク管理部長 松岡仁様

岡三証券のリスク管理部長を務める松岡仁氏は、「機密情報や個人情報のやりとりも予想されるため、社員に限らず誰でもアクセスできる可能性のあるSNSは最適とは考えられませんでした」と話します。
より適した方法を求めて、岡三証券のリスク管理部が先進企業の事例や基盤技術の情報収集にあたった結果、行き着いたのがインターネット経由で利用できる掲示板をクラウド上に用意するというアイデアでした。非常時だけ使うという条件に対して、クラウドを活用すればコストを抑えられるかもしれないという点も検討の手がかりとなりました。
「基本コンセプトとして描いたのは、社内限定版のSNSです。災害発生時に関係者がどこからでも直接掲示板にアクセスし、必要な情報を入手し、コミュニケーションをとることができるシンプルな仕組みを構築したいと考えました。」(松岡氏)

いつでも、どこからでもつながり、誰もが直感的に使用できる操作性を追求

いつでも、どこからでもつながり、誰もが直感的に使用できる操作性を追求

こうして「災害時用掲示板システム」の構築プロジェクトが始動しました。対象ユーザーは、経営層と管理職、危機対策本部担当者を中心とした約500名の社員です。
「掲示板には被害情報や事業再開の可能性、判断、指示といった情報を集約するほか、関連するドキュメントやファイルも格納しておき、業務遂行のための的確な意思決定とアクションを支援します。経営に不可欠な情報交換を支えるツールという位置付けです」と松岡氏は説明します。
これに対して、IBM のビジネス・パートナーである株式会社AIT(以下、AIT)がソリューションの提案を実施。コラボレーション・ソフトウェアのLotusNotes/Dominoを使った掲示板システムを、IBM SCEを利用したクラウド環境で稼働させるという案が採用されました。

使いやすい掲示板を作るため、カスタマイズ性を重視

掲示板機能を実現するコラボレーション・ソフトウェアは当初、オープン・ソース・ソフトウェア(OSS)も含めて複数の製品が候補に挙がっていました。しかし、検討を進める中で、次第にLotus Notes/Dominoへと考えが傾いていったと、岡三証券リスク管理部主事の長石健吾氏は話します。
「OSSは確かにコスト面では魅力的ですが、いくつものソフトウェア・モジュールを組み合わせて作り込む必要があるため、完成までに手間と時間を要します。これに対してLotus Notes/Dominoはカスタマイズが容易で、クイックスタートできると考えました。」
同社がカスタマイズ性を重視した最大の理由は、「ユーザーにとって、わかりやすく、使いやすい、極力シンプルな掲示板を提供したい」という思いです。
「このシステムが必要とされるのは非常時です。マニュアルなどを参照しなくても画面を一目で見て直感的に操作できること、また、火急の判断が求められるような重要な内容を判別しやすいことも重要です。そうした理想に近づけるためには、例えば文字の大きさや操作ボタンの配置にも考慮が必要で、AITさんとともに試行錯誤を繰り返しました」と長石氏。

AIT ソリューション営業本部ソリューション営業部の部長を務める酒井修氏は、次のように補足します。
「当社としては最初からLotus Notes/Dominoありきではなく、客観的な立場から複数のソフトウェアを候補に挙げ、岡三証券様の比較検討をご支援しました。その結果、『構築リードタイム』『コスト』『使い勝手』の3つの観点に基づく総合力で、最も高い評価を得たのがLotus Notes/Dominoだったのです。」
さらに、酒井氏とともにプロジェクトのサポートにあたってきたAIT ソリューション営業本部ソリューション営業部の金井美奈子氏が続けます。
「PCや携帯電話、スマートフォンなどのマルチデバイスから利用できることも、Lotus Notes/Dominoが評価されたポイントの1つです。『災害時にどこからでも使える』ことは非常に重要な要件でした。」

海外のIBMクラウドデータセンターを活用し、同時被災リスクを最小化

一方、IBM SCEについて、松岡氏は次のように評価します。
「IBM SCEは、パブリック・クラウド・サービスでありながら、あたかもプライベート・クラウドのように専用の区画でセキュアな運用を確保できます。そして必要な時に従量課金で使える点にも注目しました。加えて、全世界6カ所のIBMクラウドデータセンターを利用できることは、同時被災リスクを極力分散したいという私たちのニーズに合致しました。さらに、IBMのクラウド・サービスは自治体の災害対策Webのミラーサイトをはじめとする数多くの実績があり、信頼性が高いと判断しました。

運用コストを最小限に抑えつつ、統合リスク管理体制を格段に強化

岡三証券株式会社 リスク管理部主事 長石健吾様

現段階でプロジェクトを振り返り、豊永氏は次のように手応えを語ります。
「実際に何が起こるか分からない災害に対して、いかなる対策であろうとも100%の安全性を保証することは困難です。それでも以前に比べれば、当社におけるリスク管理体制は格段の強化を達成することができたと考えています。」
加えて岡三証券が大きく評価しているのが、運用コストの最適化です。災害時用掲示板システムは、平常時にはクラウドの利用リソースを最小限に抑えて運用することで、コスト削減を図っています。
これを支えているのが、「自動化」の仕組みです。平常時には維持費の安価な自動化用Webサイトを稼働させておき、掲示板システム本体は非常時にのみ、自動化サイトを介して立ち上げるようにしたのです。 「もともと、緊急時に誰でもシステムを立ち上げられるように、操作を極力シンプルにしたいと考えていました。この要望に応える形でAITさんに自動化サイトを作っていただきました。その結果、コスト面でもIBM SCEのメリットを最大限に享受できています。AITさんにはソリューションの提案からカスタマイズまで、スピード感を持って対応いただき、非常にスムーズにプロジェクトを進めることができました。」と長石氏は話します。

定期的な訓練と運用面での議論を深め、さらなる準備を進めていく

岡三証券では、今後は定期的に訓練を行っていく計画です。
「非常時のシステムとはいえ、いざという時に初めて画面を見るのでは戸惑いが避けられません。定期的に社内訓練を実施し、ユーザーの習熟度の向上と維持に努めていきたいと考えています」と松岡氏は今後を見据えています。
豊永氏も次のように気を引き締めます。
「現時点で最も重要なのは、いざという時に災害時用掲示板システムがきちんと役割を果たせるよう、体制を固めておくことだと考えます。事業継続を担う指揮・命令系統を確実に機能させるため、掲示板にどのようなコンテンツを盛り込むべきなのか。中身により深く踏み込んだ議論を進めるとともに、災害時における的確な判断力と実践力を養っていくため役職員の訓練を重ねていくことが重要です。」
継続的な取り組みが必要なBCPの世界で、より安全に確実に事業を継続するべく新たな一歩を踏み出した岡三証券。さらなる高い目標に向けて、統合リスク管理の取り組みは続きます。

実績企業プロフィール

岡三証券株式会社様

所在地 東京都中央区日本橋室町2-2-1
概要 投資・資産運用の総合的金融サービスを提供する岡三証券グループの中核企業。1923年創業。「すべてはお客さまのために」の経営理念のもと、グローバルな商品・投資情報の提供力を強みとし、全国60店舗において地域に根ざした営業活動を展開している。

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