AITソリューションコラム
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IBM Think Summit 2019 イベントレポート

 

IBM Think Summit Business Solution Day」 (Day3)
-デジタル変革は“第2章”へ-

6月18日から21日の4日間にわたって開催されました「IBM Think Summit2019」に、弊社は、スポンサーとして参画いたしましたので、ご報告させていただきます。

日本アイ・ビー・エム主催の「Think Summit」(東京・天王洲)が、2019年6月18日から21日の4日間にわたって開催されました。1日目・2日目が「Industry Solution Day」、3日目が「Business Solution Day」、そして最終日が「Technology Day」です。ここでは、3日目「Business Solution Day」のゼネラルセッションの内容をレポートします。

データとAIで新たなビジネスを創出

Business Solutions Day全体のキーワードは、「データとAIによる新たなビジネスの創出」です。ゼネラルセッションではまず、2019年5月1日に日本アイ・ビー・エムの代表取締役社長に就任したばかりの山口明夫氏が挨拶に立ち、企業ITの現状について認識を示すとともに、社会や企業に対する日本アイ・ビー・エムの姿勢を発表しました。

山口氏は、「企業のデジタル変革への取り組みは、部門レベルでのトライアル中心の“第1章”から、クリティカルな業務も含めて全社レベルで取り組む“第2章”へとシフトしつつある」として、それを支援するために「3+1の約束」を果たすと力説されました。最初の3とは、「デジタル変革の推進」「先進テクノロジーによる新規ビジネスの共創」「IT・AI人材の育成」。そして、「+1」が「信頼性と透明性の確保」です。

注目すべきは、「信頼性と透明性の確保」です。見逃されがちな要素ですが、企業のクリティカルな業務に多数のAIを組み合わせて大規模に導入する場合、結果が導き出される過程にブラックボックス化した部分が存在すれば、プラットフォーム全体の信頼性・透明性が失われる危険性があります。山口氏は、AIなどの先端技術をユーザーが安心して本格的に活用できる環境の整備に取り組むと強調しました。

あらゆる基盤に対応し多様なデータを解析

山口氏に続いて、米国IBMコーポレーションのData and AI担当ゼネラル・マネージャー ロブ・トーマス氏が登壇し、企業のAI活用を推進するテクノロジーの最新動向を紹介しました。

AIを活用する際に最も時間がかかり難しいのはデータを収集し準備することであり、それを実現するためには情報アーキテクチャ(IA)が不可欠である、とトーマス氏は指摘。データをAI活用につなげるためには「The AI Ladder(AIへのはしご)」と呼ぶコンセプトに基づいて、「【1】Collect:データの収集」「【2】Organize:データの整備」「【3】Analyze:データの解析」「【4】Infuse:業務への適用」という順番で段階的に基盤を確立していく必要があると説明しました。

では、IAに求められる原則とは何なのでしょうか。1つ目は、オンプレミスを含め、プライベートクラウド、各社のパブリッククラウドなどさまざまな基盤上で利用できる共通のアーキテクチャであること。2つ目は、社内・社外も含め保存場所に関係なくデータを収集できること。3つ目は、DevOpsで仮想的なデータのパイプラインを確立し、必要なデータを結合できること。そして4つ目は、柔軟で拡張可能なデータ&AIサービスを提供できることです。

IBMがこうしたIAを実現するために提供しているのがハイブリッド・データ&AIプラットフォーム「Cloud Pak for Data」(旧称:IBM Cloud Private for Data)です。これは、OpenShiftベースのコンテナアーキテクチャ上に構築されており、各社のパブリッククラウドをはじめ、各種のシステム上で稼働させることができます。また、プラットフォーム上でコンテナ化した各種のマイクロサービスを動作させることができます。IBMのサービスとしては、分析に必要なデータをカタログ化する「Watson Knowledge Catalog」、AIモデルを作成する「Watson Studio」「Watson Machine Learning」、AIモデルの信頼性・透明性を監視する「Watson OpenScale」などが提供されています。

トーマス氏は、「Cloud Pak for Dataを利用して、これまで分断されていたクラウド、データベース、データウェアハウスの壁を壊し、データを仮想化し統合的に活用することができる」と強調します。また、設置後4時間で利用を開始できるオールインワン・システム「Cloud Pak for Data System」を発表し、IBMのデータサイエンティストが企業のAI活用を支援する新組織「Data Science Center of Excellence」を日本に創設したことが明らかにされました。

さらに、Watson OpenScaleを使ってAIモデルが正しい判定を行っているかどうかを検証する様子を、デモを交えて紹介。Watson OpenScaleを使うことで、AIモデルを一元的に監視し、不審な振る舞いを自動的に検出してアラートを出すことが可能となります。さらに、担当者は元のデータを特定して、カタログからさまざまな場所にある類似のデータを探し出し、わかりやすいユーザーインターフェースを使ってAIモデルの信頼性を容易に再確認することができます。

事例:AIで店舗のマネジメントスタイルを変革する飲食チェーン

AIを活用した先進的な事例も紹介されました。1つ目は、「Royal Host」や「てんや」などの飲食店チェーンを全国展開するロイヤルホールディングス株式会社様の事例です。同社では、昨年からIBMの「MetroPulse」を使って店舗の来客を予測する実証実験を開始し、店舗のマネジメントスタイルを変革しようとしています。

実証実験のフェーズ1では、「Royal Host」や「てんや」の両方の店舗で来客予測を実施しました。来客予測の誤差率の目標を設定。首都圏を中心に実証実験を行った結果、「Royal Host」、「てんや」とも予想以上に誤差が少ない結果となりました。

フェーズ2では、地方にある「Royal Host」の小規模店舗にまで対象を広げ、実証実験を行った結果、都内の店舗では誤差率の平均よりも、精度の高い店舗もありました。一方、地方の小規模店舗では、誤差にバラツキが目立ちました。

また、興味深かったのが、今年2019年のゴールデンウイーク期間中にMetroPulseとベテランの店長の両方で来客予測とピーク日の予測を行い対決したことです。その結果、ピーク日については店長が的中させ、MetroPulseは外しましたが、来客予測全体ではMetroPulseのほうが安定的で高い精度を記録しました。

ロイヤルホールディングス様は、「来客予測は、店鋪マネジメントの要になる重要な指標であり、今後はこれを店舗の収支予測や自動発注などに応用して、経営の品質をさらに高めていきたい」と、AIによる店舗マネジメントへの期待を語りました。

事例:ウェアラブルをストレス管理に活用する航空会社

2つ目の事例は、伝統的な西陣織事業からウェアラブル事業へとコアビジネスの転換を果たしたミツフジ株式会社様です。同社は、ワコール株式会社様と共同で、働く女性のためのブラジャー型ウェアラブル「iBRA」を開発。航空会社のPeach Aviation株式会社様と協力して、客室乗務員を対象とした着用テストを実施し、ストレスマネジメントに役立てようとしています。

着用テストは、客室乗務員から10名の参加者を募り、約2週間にわたって取得した生体情報を基にストレス解析を実施。「解析結果からストレスを抑え笑顔を絶やさない秘訣が見えてきた」とのことでした。

ウェアラブル事業の今後の展開について、ミツフジ様は「ウェアラブル・ビジネスを発展させるためには、1社だけではなく企業のコンソーシアムを作ってウェアラブル産業にまとめ上げる必要があります。今後は、工事現場の熱中症対策、乳幼児の見守りサービスなどにも取り組んでいきたいと考えています」と抱負を語りました。

AIやクラウド時代に不可欠なサイバーセキュリティ対策は

ゼネラルセッションの最後は、IBM Security担当のゼネラル・マネージャーを務める米国IBMコーポレーションのメアリー・オブライエン氏が講演。AIやクラウドサービスを活用する企業とって、サイバーセキュリティ対策はとりわけ重要な課題です。オブライエン氏は、「AIなどの先端技術を活用する企業は、セキュリティに関する専門の技術を身につけると同時に、専門の知識を持った信頼できるアドバイザーの助けが必要であり、その助けを得て強固なセキュリティ戦略を立案しロードマップを確立する必要がある」と指摘。また、業界ごとの集団防衛の重要性についても強調しました。

ゼネラルセッション全体を通じて、AIやクラウドサービスの活用を本格化させていきたいという日本IBMの意気込みが伝わってきました。当社におきましても、強みとしております先進インフラ、アナリティクス、クラウド、セキュリティ、電子帳票、カストマーエクスペリアンス等のソリューションを拡充し、お客様のデジタルトランスフォーメーションをご支援する取組みを推進していきたいと思います。

2019年7月17日           
株式会社AIT ソリューション営業本部

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