電子帳票導入事例

電子帳票基盤導入事例:株式会社茨城県農協電算センター様

株式会社茨城県農協電算センター様では、従来のホスト環境からオープンシステム化を決定。新システムの構築に際し、従来通りの帳票管理・運用を踏襲しつつ、オープンシステムへの効率的な移行と将来の拡張性やメンテナンス性などを考慮し’帳票基盤のHUB化’を決定した。

システム導入の背景

従来、茨城県農協電算センターでは、茨城県内の各JAに対する全ての事業システムをホスト環境で提供してきた。
しかし、システム構築から15年以上が経過し、システムライフに起因してシステム改善要望への対応が迅速に行えな事や、ホストの維持管理費などの問題から、2005年よりオープンシステム化の実現を目指した検討が開始された。
このオープンシステムへの移行の構想が浮上した際、各JA窓口のオンライン取引はWEB化で再構築を目指すなど、アプリケーション部分についての具体的施策が次々と決定されていくなか、ホストシステムと設計方法が異なる帳票の取り扱いが課題として残った。
ここで事態を打開する糸口となったのは電子帳票システム「FiBridgeII」(JEFシステムズ社)の有効活用だった。JA茨城県電算センターでは、2001年から「FiBridgeII」を導入していたため、帳票の電子化基盤は既に確立されていた。今回のオープンシステム化計画では、ホストシステム環境での帳票環境に変わり、上流アプリケーションと「FiBridgeII」を繋ぐ帳票基盤を構築することが必要であった。

システム構築上の問題

今回のオープンシステム化に伴う帳票基調の構築を行う上での課題は、大きく分けて5つあった。

  • アプリケーション開発担当者の負荷軽減
  • 各マスター管理の一元化
  • 帳票設計の標準化
  • サービス開始後の自動運転の実現
  • メンテナンス効率と拡張性の実現

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帳票基盤をHUB化するという考え方

アプリケーション開発リーダーで帳票基盤のグランドデザインを牽引した前嶋氏は、「最優先事項はオープンシステムへとダウンサイジングした後も、同じ業務を継続的に遂行できること」であったと言う。JAグループ茨城には信用事業をはじめ様々な事業があるが、購買や販売、会計や給与などの管理・経済業務だけでも1000種類以上の帳票があり、実に、月間約100万ページもの出力が行われる。もちろんこうした帳票は電子帳票だけでなく、紙でも運用できなければならないが、これだけの帳票をオープンシステムへ移行していくためには、アプリケーションを設計・構築・展開・メンテナンスしていく都度に帳票部分の対応をしていては非効率である。そこで帳票部分は、アプリケーションから切り離し、共通的に帳票の基盤を担う考え方に行き着いたというわけだ。こうして到達したコンセプトが”帳票基盤のHUB化”という考え方である。
JA茨城県電算センターでは、帳票基盤に対する基本的なビジョンを持っていたこともあり、グランドデザインはすぐに完成した。だが、具体的な実装に至り、”帳票基盤をHUB化する”ノウハウはなかったため、AIT社がアウトプットまでを含めた設計・開発を担当することとなった。これには課題の一つである「アプリケーション開発担当者の負担軽減」という意味もあり、実際、今回の帳票基盤構築において、アプリケーション開発担当者は、インターフェースを意識さえすればあとは開発作業に集中することが可能となった。

様々なパッケージ・ミドルウェアを結合し融合

今回の帳票基盤のHUB化にあたっては、他県JAの事例などを参考に、開発を最小限にし、多くのパッケージ・ミドルウェアを活用することとした。帳票設計・印刷ツールとして「SVF」を、アウトプットコントロール部分は「RDE(Report Director Enterprise)」(いずれもウイングアークテクノロジーズ社)を採用している。また、各システム間のファイル転送ソフトとして「A‐FTU」(コベルコシステム社)を、上流システムから流れてきた帳票データの仕分けを行なうソフトとして「BSP‐RM」(BSP社)を選択した。さらに、システム全体の運用・管理(立ち上げや閉局、データのインポート・エクスポートやバックアップまでの一連の処理を管理)を行うジョブコントロールツールとして「A-AUTO」(BSP社)を採用している。
オンライン環境はもちろんの事、印刷環境でも様々な独自の工夫がなされている。例えば、ホストシステム環境時に使用されていた連続用紙を、今回カット紙に変更するにあたり、高速両面印刷が可能なリコー社のプリンターを採用している。また、各JA本・支店宛の帳票データをバッチで一括してプリント処理した際、セパレーター(色紙)を入れて自動的に仕分けるなど、印刷された帳票の管理・運用を効率化する機能も搭載している。
こうして様々なパッケージやミドルウェアを融合することで、SVF上で作成された帳票データを、一方は電子帳票へ、他方はプリンターデバイスでアウトプットするといった、まさにHUB的な役割を担う帳票基盤が完成したのである。

今後の展望、”帳票基盤”への期待

前嶋氏は、「ここまで大きな問題もなく、帳票基盤の構築ができ大変満足している。ただ、今回のオープンシステムへの移行計画全体においては、まだ第一フェーズ。システム全体が完成するまでにはあと2~3年を予定している。まずは、第一フェーズをやり遂げることが重要」と語る。その中で、帳票基盤の確立はアプリケーション開発担当者にとって安心材料といえるだろう。もちろん、帳票基盤の維持管理に関しては、今後もAIT社が携っていくので、前嶋氏としても安心してアプリケーション開発に集中できるとのことである。
前嶋氏が更なる拡張案として挙げたのは「電算センター内で行っている一括印刷運用の、各JAでのリモートでの直接印刷」。拡張性も考慮された今回の帳票基盤であれば対応可能だ。
「AIT社に頼まなければ、計画通りの進捗は厳しかっただろう。本来の業務アプリケーション開発に注力できたし、従来のホストシステム環境と同じように管理・運用できることが見えてきた。これからは維持管理が大変になると思うが、ここでもAIT社に期待している。」と前嶋氏は語る。
今後のAIT社並びに帳票基盤への期待は高まるばかりだ。

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※記載されている会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。

実績企業プロフィール

株式会社茨城県農協電算センター様

所在地 茨城県水戸市小吹町2461-1
設立年月日 昭和54年1月9日
資本金 8,000万円
事業概要
  1. 農協・農協中央会・農協連合会及び関係団体業務の情報処理サービス
  2. 前号以外の情報処理サービス
  3. 前各号に付帯する一切の業務
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