インフラ導入事例

インフラ導入事例:株式会社大阪府農協電算センター様 (JA大阪電算)

圧倒的な堅牢性と処理性能、セキュリティを総合評価

将来のクラウド化を視野にシステムのインフラを
「IBM Power10」と「IBM FlashSystem」で刷新

最終更新日:2025年11月19日

(株)大阪府農協電算センター(JA大阪電算)は、JAグループ大阪の総合情報センターとして、グループの事業、業務を支えるシステムやサービスを提供する企業だ。システムの安定稼働とパフォーマンスの維持・向上、さらには情報セキュリティの確保を重要なミッションとする同社では、基幹システムを支えるインフラとして、IBMの高信頼性サーバ「IBM Power10」とフラッシュストレージの「IBM FlashSystem」を採用し、2024年1月から本番運用を始動させる。このインフラ改定により、データやワークロードの増大に余裕をもって対応することが可能になった。

【課題】
・JAにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流により、システムのデータ量やワークロードが増大し、インフラの大幅な性能向上が必要とされた。
・新しいインフラには高い性能とともにJAグループのミッションクリティカルなシステムを安定して稼働させる堅牢性と強固なセキュリティ機能も要求された。

【ソリューション】
・システムのインフラとして「IBM FlashSystem」と、旧来から使用してきた「IBM Power8」の後継「IBM Power10」のコンビネーションを採用。
・AIX LPARを活用し、2台のIBM Power10サーバによってアプリケーションサーバとデータベースサーバのそれぞれでHAクラスタの構成をとり、高い可用性を確保。

【導入効果】
・データ量、ワークロードの増大にも余裕をもって対応できる高性能、かつ可用性の高いインフラが実現できた。
・IBM Powerの継続的な使用により、新たなインフラの導入に伴うシステム移行の手間とコストを必要最小限に抑えることができた。

1. ワークロードの増大とデータ量の2.5倍増への対応が喫緊の課題に

大阪府農協電算センター(以下、JA大阪電算)が運用するシステムは多岐にわたる。例えば、JAの全国統一電算システム「JASTEM」を補完する仕組みとして、振替決済や窓口収納といった金融系の「信用業務」をサポートするシステムを提供しているほか、JAグループの購買事業・販売事業における発注管理、供給管理をサポートするシステムや人事・経理など管理系業務のシステム、顧客情報管理システムなどの情報系システム、さらには、JAの事務処理を自動化するRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の仕組みなども提供している。

これらのシステムを運用する中で、JA大阪電算では安定した稼働と処理性能、そして情報セキュリティの確保を追求してきたと、システム部長の川端 朋義氏は言う。

「当社が提供しているシステムは、JAの重要な業務を支える仕組みです。ゆえに、高いレベルの可用性と処理性能、そしてセキュリティが要求され、それらの要件を満たすことが、私たちシステム部の最重要ミッションとなっています」(川端氏)

「ただし近年におけるDXの潮流により、JAグループ大阪でも業務のデジタル化に対する要求が高まり、かつ、データベースに保持させるデータの期間も延長され、データ量が従来の約2.5倍に増えることになりました。結果として、インフラ(サーバ、ストレージ)への負荷が高まり、大幅な高性能化が必要になりました」と、JA大阪電算システム部調査役の加守田 侑氏は振り返る。

このミッションのもと、同社では旧来、システムのインフラとしてIBMの高信頼性サーバ「IBM Power8」を活用し、稼働の安定性と強固なセキュリティを確保してきた。

2. 圧倒的な堅牢性と移行のしやすさから
 新インフラとして「IBM Power10」を選択

前述したとおり、JA大阪電算ではインフラとしてIBM Power8を活用してきた。そのハードウェア保守期限が2024年に切れることを契機に新インフラ(サーバ)の選定に乗り出した同社は、最終的にIBM Power8の後継であるIBM Power10(「IBM Power E1050」と「同S1014」)、ならびにフラッシュストレージ「IBM FlashSystem 7300」の採用を決めた。

IBM Power 10を選んだ理由について川端氏は次のように説明する。「IBM Powerがきわめて堅牢で可用性が高いこととセキュリティが強固であることは、IBM Power8の運用を通じて理解していました。また、IBM Power10の当社への販売を担ったAITの提案によって、このサーバならば当社が求める性能要件を十分に満たせると知り、安心して導入が決められました。AITには帳票の電子化を担ってもらうなど、付き合いが古くからあり、全幅の信頼を置いています」

川端氏によれば、IBM Power10の採用を決める前には、IAサーバの導入も検討したという。ただ、堅牢性の面でIBM Powerのほうが圧倒的に高いほか、IAサーバへのインフラの転換によってシステム移行の手間とコストがかさむといった理由から、IBM Power10を採用するに至ったと、加守田氏は説明を加える。

同氏によれば、IBM Power10導入後も、システム全体の基本的な構造はIBM Power8を使用していたときと変わりはないという。その構造とは、アプリケーションサーバとデータベースサーバのインフラとしてIBM Powerを1台ずつ使用し、それぞれのリソースをAIXのLPAR(論理区画)機能によって複数の区画に分けて、2つの仮想サーバによるHA(高可用)クラスタを組むといったものだ。このうち、アプリケーションサーバは「アクティブ-アクティブ」のHA構成をとり、クライアントからの処理要求をロードバランサーによって2つの仮想サーバに割り振る仕組みを採用している。一方のデータベースサーバは、IBM Power用のクラスタソリューション「IBM PowerHA」を使用し、「アクティブ-スタンバイ」方式のHA構成をとっている。

3. 移行作業が淀みなく進行し、インフラの大幅な性能向上に期待

IBM Powerの継続的な使用を選択した効果から、IBM Power10サーバへのシステムの移行作業はトラブルなく進行し、2024年1月から新たなインフラの本番運用がスタートを切る予定になっている。

現時点(2023年11月時点)ではシステムの本番稼働前であることから、IBM Power10 サーバの導入効果はまだ見えていない。ただし、IBM Power8からIBM Power10への移行によってインフラの大幅な性能向上が期待できると加守田氏は指摘する。
「IBM Power8の導入は2019年に行ったのですが、その際、ストレージを一般的なディスク装置からIBMのフラッシュストレージ(IBM FlashSystem V9000)へと切り替え、それによって4時間を要していたバッチ処理が2時間程度で済むようになるといった大幅な性能向上が実現されています。今回もストレージにIBM FlashSystemを採用し、かつ、サーバをIBM Power8からIBM Power10へと2世代アップさせていますので、インフラの処理能力が大きく高められ、ワークロードやデータ量の増大に余裕をもって対応できるようになると見ています」(加守田氏)

こうした効果を踏まえながら、川端氏は今後についてこう展望します。「IBM Power10の採用により、新しいインフラへのシステムの移行は実にスムーズでしたし、本番稼働後のインフラの処理能力、堅牢性、そしてセキュリティレベルも、当社が期待したとおりのものになると確信しています。さらに当社では、将来的にインフラをクラウドプラットフォームに移行させることも検討しており、AITには、IBM Power10導入の提案時にクラウド化の道筋を示してもらえています。それを参考にしながら、IBM Powerよって実現される環境を、クラウドへと理想的なかたちでマイグレートする手段を模索していきたいと考えています」

※掲載内容は、取材当時のものです。

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