インフラ導入事例
インフラ導入事例

仮想化技術によるIT共通基盤構築事例:医療

 

~MQ+DB2+フラッシュストレージにより、超短時間の停止でシステムの移行を実現
~サーバ集約と仮想化により、省スペース、省電力、システム運用負荷の軽減を実現

ある医療関係のお客様では、基幹業務である電子カルテシステムの更新を行う際に、IBM Power Systemsを採用し、DB2とMQを使ったQレプリケーション機能、フラッシュストレージの機能を活用することによって、わずかなシステム停止のみで既存システムの移行に成功しました。

さらに、統合的なバックアップ環境を構築したことと、仮想化によるサーバの削減により、限られた人数のシステム担当者が抱えていたシステム運用負荷を大幅に軽減しました。

課題:短時間のシステム停止で、病院部門系システムを新システムへ移行

プロジェクトがスタートした2015年には、既存の電子カルテシステムのITインフラの更新が必須でした。しかし、電子カルテシステムは、診療のために24時間止めることが許されない基幹業務システムでした。

そのために、電子カルテシステムのアプリケーションを導入するアプリベンダーと、ITインフラ構築を担当するAITには、綿密な移行計画の立案と対応が求められました。しかも、検査システム、放射線システム、看護勤務システムなどの部門系サーバの統合も並行して実施されます。

時間のかかる『緻密な調査』の実施

AITが最初に提案したのは、部門系サーバに関する『緻密な調査』の実施でした。AITは、部門系サーバで稼働中のアプリケーションを提供していたすべてのシステムベンダのヒヤリングに着手しました。作成したヒヤリングシートの内容は多岐に渡っていました。各社からヒヤリングした情報を、ある程度標準化できるレベルまで絞り込んだうえで、システムベンダと個別に折衝するという地味で時間のかかる作業でした。

その結果、堅牢性と安定性が要求される電子カルテシステムにはIBM Power Systems+AIX、約100台ある部門系のサーバにはIAサーバの仮想基盤を採用し、ハードウェア監視はハードウェアの機能を利用したメール通知と、アプリケーションのエラーメッセージ監視は、既存の手組みシステムの継続使用という組み合わせが採用されました。

『統合バックアップ方式』の確立

AITが次に提案したのは、『統合バックアップ方式』でした。上記の『緻密な調査』の結果判明したことは、予想できなかったほどの、データのバックアップ方式のバラつきでした。システムベンダによっては、専用のバックアップツールを使用したり、単にデータを外部にエクスポートしたりというように、運用には大きな違いがありました。

お客様のシステム運用担当者は人数が非常に限られています。システムの移行とその後の運用を考えると、システムの長時間の停止が必要な人手のかかるバックアップ方式は使えません。また、データのエクスポート自体に時間のかかるバックアップ方式も。診療に影響が出るので採用できません。

データ容量の大きいものは、ディスク装置のフラッシュコピー機能を利用して瞬時にバックアップをコピーすることとし、データ容量の小さいものは、バックアップ一次領域へ保管した後、まとめてテープへバックアップすることとしました。バックアップツールには、IBM Spectrum Protect (旧称: Tivoli Storage Manager)サーバによる『統合バックアップ方式』が採用され、様々なバックアップツールが乱立していた部門系サーバのバックアップの一元管理・運用が可能になりました。

電子カルテの『参照用サーバ』の設置

電子カルテシステムは、医療機関にとって診療情報の収集と利活用を支える基幹業務システムです。電子化された過去のカルテデータを参照できることは診療行為に必要不可欠です。しかも、そのデータは最新のものでなければなりません。AITが提案したのは、DB2+MQによるリアルタイムデータを反映した、電子カルテの参照専用サーバの設置です。

最新の電子カルテデータを常に参照できる環境を構築しながら、電子カルテシステム自体を円滑に移行することが可能な環境を構築することになりました。

電子カルテシステムのデータ移行時間の劇的な短縮

電子カルテシステムの移行に伴う大きな課題は、既存の電子カルテシステムから新システムへのデータ移行の際に必要なシステム停止時間を極力短縮することでした。DB2+MQを用いたQレプリケーション機能を利用したデータ移行の方がシステム切替え時のデータ移行時間を劇的に短縮できることがわかりました。

そのうえ、フラッシュコピー機能を使用し、本番とほぼ同じ環境を準備することで、データの移行計画からアプリ検証まで、ほぼ同じデータ量を使ったパフォーマンステストなど、事前に検証することが可能になりました。

電子カルテデータの新環境への移行作業は、アプリケーションの停止作業、移行後の確認作業を含めて、新しいIT基盤への移行に3時間かけました。このように、わずかなシステム停止の間に安全に移行作業を実施することができました。

『サーバ統合と仮想化環境の構築』による省スペース化、省電力化

サーバルーム内には10本のサーバラックがあり、ラック増設の余地はほとんどありませんでした。部門系のサーバの業務を変更することなく、仮想化環境の中で6本のラックに集約することができました。

システムの移行が無事に終了

2016年の初めには、電子カルテシステムの移行が完了し、部門サーバの仮想化とサーバ集約、端末のシンクライアント化が終了して、サービスインすることができました。お客様からは、「多少のトラブルはありましたが、システムの移行時には大きなストレスを感じませんでした。職員の中には、知らない間にシステムが変わっていたと感じた人もいます。」という声をいただきました。AITにとって何よりの誉め言葉でした。

IBM製品の先進的な機能をフルに引き出して、AITならではのきめ細かなサポートを合わせて提供したことが、移行時に大きなストレスを感じないプロジェクトの成功をもたらしたと考えています。今後も、AITは、お客様の施設で月に一度開催される定例会などを通し、お客様の声に耳を傾け、先進的な機能を活用した高品質のシステムの提供と、安全・安心の運用の実現をご支援します。

※本記事は2017年7月時点の内容となります。

詳しい説明資料のPDFはこちらから

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