クラウド導入事例

IBM Cloud導入事例:株式会社ソラスト様

医療事務系採用システムのIT基盤にIBM Cloudを採用
システムの安定稼働とコスト削減を同時に実現

人事総務本部 採用企画部
部長 菊池 雅也 氏
データアナリティクス課
課長 菅野 透 氏

1965年10月に日本初の医療事務教育機関として創業し、医療事務および介護・保育サービスを展開する株式会社ソラスト(以下、ソラスト)。 “未来のサービスモデルを志向し、社員一人ひとりが最新のICTを活用するサービス業のデジタルカンパニー” を経営ビジョンに掲げ、常に医療現場の日々の仕事に役立つサービスを展開しています。
医療事務の事業領域で、年間5,000人もの社員を採用する同社では、採用者の40%近くが採用後1年未満で離職する状態を改善するために、採用管理システム、適性診断システム、分析システムを再構築しました。そのIT基盤として、IBM Cloudを採用することで、システム導入期間の短縮と導入コストの削減、システムの安定稼働など、大きな導入効果をあげました。

 

導入前の課題:医療事務事業の採用者の40%近くが入社1年未満で離職

医療事業では、年間5,000人が採用されますが、入社から1年未満の離職者の割合は40%近くにもなっていました。せっかく採用した社員が短期間で離職することを何とか防ぐ手段はないかと、様々な視点から議論された中の1つのポイントが「採用基準」でした。従来からの採用時の評価方法(アセスメント)は、紙ベースの適性診断でしたが、短期離職者の減少には大きな貢献ができていませんでした。また、面接の際に把握できることは、個人の業務スキルや仕事に対するモチベーションの確認に留まります。応募者は、コミュニケーションが重要な受付業務に適性があるかどうか、正確性が求められる算定業務に適性があるかどうかなど、限られた面接時間内に見極めることは非常に難しい現状がありました。

この当時の事情について、人事総務本部 採用企画部 部長の菊池 雅也氏は、次のように語ります。「大量採用、大量離職では、採用コストもかかりますし、入社後の教育に注力する弊社では多額の教育コストがかかります。また、短期離職はコストの問題だけに留まらず、夢を持って弊社に入社した人に対して良い影響を与えないと考えていました。採用時のマッチング精度の向上は、弊社にとっても、応募者にとっても重要な課題だと認識していました。」

ソラストは、医療事務、介護サービス、保育サービスの領域でビジネスを展開し、主力の医療事務では2万人以上の社員が全国1,500以上の医療機関で事務や受付等のサービスを提供しています。「人こそがサービス業にとって唯一のアセット」と考える同社は、マッチング精度を高め、短期離職を防止するために、複数のITベンダーに対して提案を求め、比較・検討した結果、IBMと実装を担当するビジネスパートナーのAITによる、採用管理システム、適性診断システム、分析システムの3システムを相互連携する提案が最善と判断しました。

採用の経緯:POCからシステム導入を通して、新たな採用基準を確立

本番環境を構築する前にPOC(概念実証)を行い、個人の性格や価値観などをモデル化し、傾向を分析することで、一定の予測が成り立つことが確認できました。これまで支社単位で行われていた属人的な評価と判断に代わって、医療事務という業務やソラストの社風に合う人を予測するための全社的な統一基準の確立とナレッジの可視化への道筋が徐々に固まっていきました。

次に、採用に関する3システム(採用管理システム、適性診断システム、分析システム)を支えるIT基盤の検討に入りました。データアナリティクス課 課長の菅野 透氏は、「IT基盤については、クラウドでもオンプレミスでも、どちらでも良かったのです。しかし、両者を比較すると、クラウドが圧倒的に有利という評価になりました。クラウドは立ち上げに要する時間が短く、導入・運用コストの負担も少なくて済みます。さらに、応募者も年間2万人以上と着実に増えてきているため、将来の拡張性について不安がないクラウドの優位性は明らかでした。

システム構成についてもクラウド特有のセキュリティ面をしっかり考慮したシステムが提案されました。エンタープライズ向けに豊富な実績があるIBMのクラウドサービスは信頼性があり、実装を担当するAITが、クラウドサービスの実装やカスタマイズに精通していることは、ソラストに大きな安心感を与えました」と語ります。

導入効果:使えば使うほど分析精度が高まるシステムを構築し、短期離職率を改善

「新システムの導入効果は3つの面で明確に現れました。1つ目は、導入直後の段階において、短期離職者の減少を確認できたことです。今後は蓄積されたデータをもとに、分析モデルをブラッシュアップすることで、さらに精度を高めることが可能だと考えています。
一般的なITシステム(業務システム)は、導入直後の期待値が最も高く、徐々に期待値とシステムの魅力が下がる傾向にありますが、弊社のシステムはまったく違います。データを蓄積すればするほど、分析の精度が高まります。つまり、使えば使うほど魅力が高まるシステムなのです。」(菅野 氏)

「2つ目は、合否判定に要する時間を短縮できたことです。応募から合否判定までの時間を短縮することは、応募者にとっても弊社にとっても大切なことです。これまでは、紙ベースの適性診断の結果をフィードバックするのに数日かかっていました。一次面接、紙ベースの適性診断、二次面接というプロセスだったので、かなりのリードタイムが必要でした。そのプロセスが、今では、Webベースの事前適性診断、診断結果を利用した一次面接、面接結果が良ければ、当日の午後に二次面接も可能になりました。採用プロセスの何割かを削減するというレベルではなく、圧倒的なリードタイムの短縮を実現しました。

3つ目は、新しいITテクノロジーを駆使して「いつでも、どこでも、だれでも使える」応募者フレンドリーなシステムを構築したことです。Webベースの適性診断は約7割の応募者が事前に受検しています。事前に受検できなかった場合でも、一次面接で来社された時に受検いただければ、リアルタイムで結果を知ることができます。適性診断は、23のパーソナリティについてのスコアリングで、その診断結果レポートは、合否に関係なくその場で応募者にお渡ししています。また、応募者のITスキルが必ずしも高いとは言えない現状で、応募者の多くが使用するスマホを中心に、多様なデバイスに対応し、操作性の良い応募者フレンドリーなシステムになっています。なお、適性診断の結果は面接担当者に事前にインプットできるようになっています。面接担当者へのガイドに適性診断の結果を反映させることで、より効果的な面接を実施できる環境を整えています。」(菊池 氏)

「ソラストの採用業務を支えているIBMのクラウドサービスは、導入以降、目立ったトラブルもなく、安定稼働を続けています。システム構成をできる限りシンプルな構成にして、複雑なことを極力避けたことも安定稼働に貢献したと考えています。シンプルなシステム構成は、良好なレスポンスの確保にも役立っています。」(菅野 氏)

今後の展望:サービス業のデジタルカンパニーを目指すソラストの挑戦

「医療事務の業務やソラストの社風に合う人物像は、時代と共に変化すると考えています。これまでは、コミュニケーションスキルが重視されていましたが、今後は、例えばITリテラシーが重要になることも考えられます。そのような場合にも、今回構築されたシステムであれば、分析モデルを更新するだけで簡単に対応することができます。」(菅野 氏)

菅野氏は、今回のプロジェクトを成功に導く一因となったAITの貢献について言及し、次のように締め括りました。「今回のプロジェクトで、見逃せないポイントは、AITが実装した柔軟なシステムと、AITが提供するクラウド監視サービスです。これらのサービスの結果、ソラストは、分析モデルの更新などの本来の業務に専念することができました。今回のプロジェクトが大きな成果をあげられた背景には、IBMの力だけでなく、実装やカスタマイズを担当するIBMのビジネスパートナーとしてのAITの力が大きかったと考えています。AIT社の貢献に感謝しています。」

事前の期待を越える導入効果が得られた今回のプロジェクトですが、ソラストでは既に、最新のITテクノロジーを活用して、業界のイノベーションリーダーを目指す取り組みが検討されています。社員一人ひとりが最新のICTを活用することで、サービス業におけるデジタルカンパニーを目指すソラストの挑戦に終わりはありません。

実績企業プロフィール

株式会社ソラスト様

所在地 〒108-8210 東京都港区港南1-7-18 A-PLACE品川東6F
設立年月 1965年10月
資本金 5億円(東京証券取引所 市場第一部上場)
売上高 743億円(2018年3月期)連結
従業員数 25,000名以上(2018年4月現在)

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