アナリティクス導入事例

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IBM SPSS Modeler導入事例 朝日生命保険相互会社様 第二弾

AIの判断に基づき、保険加入等の見込度が高いお客様をその理由と共に営業職員へ提示することで、効率的なアプローチが可能に
‐ AIを活用した「推奨活動自動立案」システム構築にIBM SPSS Modelerを採用 –

朝日生命保険相互会社(以下、朝日生命)は、AIを活用した営業職員向けの「推奨活動自動立案」システムを開発し、営業職員に最適な訪問先の提案を行う仕組みを導入。営業活動の効率向上を目的とした「データ分析プロジェクト」を進める過程で、お客様の属性や営業職員の活動データをAIが分析した高度な分析モデルを自社開発し、営業職員が保有する営業用端末に推奨訪問先リストを自動で表示する仕組みを導入しました。データ分析基盤には、日本IBMのソフトウェア「IBM SPSS Modeler」(以下、SPSS Modeler)が採用されています。

導入前の課題: データ活用を促進する全社的な方針を 現場の営業職員へどう落とし込むか

朝日生命は、日本の近代的生命保険会社として2番目に長い歴史を持つ大手生命保険会社です。「まごころの奉仕」を基本理念に、お客様に寄り添った保険商品を提供し、2020年度における個人のお客様は260.2万人、法人のお客様は4.1万社を数えます。
2021年度からは、3カ年中期経営計画「Advance~The road to 2030~」をスタート。「人生100年時代を迎え、生命保険事業を通じて、社会の課題解決に貢献する会社、お客様の“生きる”を支え続ける会社」と定め、「医療・介護保険への注力」「営業職員体制の質・量の拡充」「マルチチャネル化の推進」を成長のベースに据えています。またそれらを支えるDX戦略として、「デジタル化に対応したDXの推進」を掲げ、データを重要な経営資源と位置付けて、データを活用した営業活動の効率向上に取り組んでいます。今回開発したAIを活用した「推奨活動自動立案」の仕組みは、こうしたDX戦略の取組みの1つという位置付けです。
朝日生命では、まず2001年にデータウェアハウス(DWH)、2012年にCRMシステムを構築し、データ基盤を整備しました。そのデータから、成約に至った営業職員の活動や過去に成約したお客様の情報等を分析して営業活動の効率を向上させるため「データ分析プロジェクト」に取り組み、データ分析ツールを導入しました。2018年に同ツールを活用して、加入見込の高いお客様を予測するシステムを開発しています。
この見込度予測システムでは、従来の経験に基づくお客様リストをベースとした営業活動と比較して、同システムで抽出したデータに基づくお客様リストを活用した方が営業活動を効率化できるという結果を実証実験で得ました。ただし、そのような効果は見られたものの、データ分析活用のメリットが十分理解されていませんでした。
「この実証実験では、営業現場の活用率はそれほど高くはありませんでした。当時の見込度予測システムは、全体としての予測精度は低くなかったのですが、営業職員一人ひとりに落とし込んだときに成果を得られていると理解されづらかったのです。また、現場や営業職員としては『そのお客様がリストに選ばれた理由が分からず、このお客様がリストに入っているのはおかしい』と感じてしまい、活用を控えるということもありました」(奥田氏)

<構築の経緯>
営業用端末にデータ分析結果を自動で展開
営業活動の高度化にAIモデルを活用

データを活用した営業活動を定着させるためには、より強い動機付けが必要でした。社会的にデジタル化が加速するなか、マルチチャネルで取得したデータの活用という課題も見えていました。そこで着目したのが、AIの積極的な活用です。
朝日生命は営業改革の一環として全営業職員に営業用端末を配布し、保険商品の説明・契約手続きを一貫して行うことができます。元々「データ分析プロジェクト」では、見込度予測システムを開発した段階で、営業用端末と連携し営業職員へ分析結果を自動で表示して、営業活動の高度化を目指す計画でした。
そこで営業企画部では、2019年7月にAIを活用した推奨活動自動立案システムの開発に着手しました。お客様の年齢、世帯構成、既存の契約内容、⼿続き情報を踏まえたAIベースの分析モデルを構築し、営業職員の営業用端末に自動で訪問先の提案を行う仕組みを開発しました。営業用端末上には、加入見込の高いお客様に留まらずアフターフォローが必要なお客様をAIで導き出し、推奨訪問先リストにて毎月5名ずつ提示されるようにしています。
「従来の仕組みでは予測確率を出すモデルのみを活用していたのですが、今回は新たにセグメントモデルを使っています。セグメントモデルは、お客様をセグメント分けするモデルを2本、自社とお客様の接点履歴をセグメント分けするモデルを4本で合計6本作りました。それと新たに7本作った予測確率のモデルを組み合わせて、より確率を上げ精度を高めたシステムとなっています」(横山氏)
営業企画部ではこれらのモデルを部内のメンバーに加え、営業管理部・営業職員体制強化部といった営業現場を統括する部門のメンバーの協力を得て、構築しました。それを支えたのが、分析基盤として導入していたSPSS Modelerでした。
「モデルを構築するにあたって、チームにはデータサイエンティストはおろか、プログラミング人材も在籍していなかったため、専門的な知識がなくても扱えるSPSS Modelerは最適なツールでした。モデル作成に苦労しましたが、IT部門の力に頼ることなく、営業企画部で構築できました」(横山氏)

導入効果
推奨した理由を明記したことでAIデータ分析に信頼感が生まれる

2020年10月に推奨活動自動立案システムの暫定版が完成し、実証実験を経たのち、2021年7月末から約1万3500名の営業職員向けに本格展開。推奨活動自動立案システムを使った推奨訪問先リストの開封率は、既存のお客様リストが30%~45%であるのに対し、運用を開始して1カ月で約80%に到達しています。
この好スタートの背景にあるのが、活用促進に向けて営業管理部や営業職員体制強化部と営業現場の活用場面を想定したマニュアル類の制作やその内容の教育、営業現場への活用徹底の指示です。
「データ分析による営業活動の効率向上の成果について、社内の理解が進んでいなかったため、推奨活動自動立案システムの利用開始にあたっては営業管理部や営業職員体制強化部の理解が得られるよう丁寧に説明しました。(奥田氏)
営業現場に対しても、リスト内に見込み度が高いと判断した根拠として選定した理由を提示し、活用しやすい工夫をしました。
「こうしたデータ分析に対する理解や、活用しやすいリストが評価され、いまでは多くの営業職員に活用されています。社内では、これまでの取り組みも含めてDX推進戦略の一環として評価され、IT部門からも今後の全社的なAIやデータ活用に向けて注目されています。」(横山氏)
SPSS Modelerで分析したモデルを既存業務に展開するための仕組みは、CADSを活用して構築しました。CADSを利用することにより、SPSS Modeler上でAI分析した結果を継続的に営業職員の営業用端末に表示することができます。システムの構築と運用サポートは、AITが担当しています。

今後の展望
お客様に対する推奨活動を具体化して提示するなどAI分析を活用した業務の更なる拡大

朝日生命では、AIによる推奨活動自動立案システムをより“使いやすいシステム”として成長させるため、稼働後も活用率の維持を目指した各種取り組みを進めています。
「活用率や成約件数、採用内定者数などが従来平均と比べて高いのかをデータとして適宜開示して成果を明示するとともに、システム自体の活用範囲を広げていく予定です。現在のシステムは見込度が高いお客様を提示するのみに留まっているので、今後はお客様の見込み度を上げるために営業職員がすべき活動の具体化や、お客様のニーズに合致した保険商品を示すなど、レベルアップさせていきたいですね」(横山氏)
また、現在のデータ分析は営業職員チャネルにのみ活用している段階ですが、今後は朝日生命グループの各チャネルが持つお客様データの分析に活用範囲を拡大するなど、会社全体として営業活動を効率化できるか検討していきたいとのこと。 「AITには分析の視点や分析に必要なデータの種類、社外のデータと社内のデータをどう繋げて活用すべきかなど、データ活用全般についてのサポートを期待しています。また、営業分野のみならず、商品開発やバックエンド業務などの他分野におけるデータ分析についてのアドバイスも期待しています」(奥田氏)

実績企業プロフィール

朝日生命保険相互会社様

所在地 〒160-8570 東京都新宿区四谷一丁目6番1号(YOTSUYA TOWER)
従業員数 職員:4,047名
営業職員:14,002名
営業拠点数 支社:58、営業所:575
(2021 年4 月1 日現在)
事業概要 生命保険事業を通じて、個人および法人・団体のお客様に “ご安心” を提供する朝日生命。現在は、特にシニア世代、女性、中堅企業経営者という3つのお客様に注力したビジネスを展開している。
創業 1888 年(明治21年)3月1日

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